5/10(火) 院内集会「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」Part.5

●集会概要●

4月8日、自民・公明両党から、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」が参議院に提出されました。与野党で協議の上、ヘイトスピーチ対策法が今国会で成立する可能性が高っています。
しかし、この法案には対策が必要となるヘイトスピーチが、日本に適法に居住する外国出身者に向けられたものに限られるなど多くの問題点があります。
日本ではじめての反人種差別法ができるかどうか、その内容がどれだけ包摂的で、実効性をもつものにできるのか、正念場です。
よりよい反差別法の実現を直ちに求める声を、国会に届けましょう。

●プログラム●

・国会情勢報告 師岡康子(外国人人権法連絡会)
・弁護士発言① 在日コリアン弁護士
・弁護士発言② 伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ)
・弁護士発言③ 渡邉彰悟(全国難民弁護団連絡会議)
・国会議員発言

★ ぜひ院内集会への賛同をお願いします! ★
  • 賛同金:団体一口3000円/個人1000円
  • 送金先:郵便振替口座 00100-5-335113
    口座名称 外国人人権法連絡会
    ※「院内集会賛同金」と記載してお振込ください。

*賛同してくださる方、5月7日までにraik@kccj.jpにご連絡ください。
賛同された団体・個人名を資料集に掲載します。

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「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」4・19院内集会アピール

私たちは国に対し、人種差別撤廃条約に基づきヘイトスピーチをはじめとする人種差別を撤廃する政策を策定すること、その出発点として人種差別撤廃基本法をただちに制定することを求めて、昨年来、4回の院内集会を開いてきた。昨年5月に提出された野党の「人種等の差別の撤廃に関する施策の推進に関する法案」は、基本法案として大きな意義を有している。

他方、今回提出された与党の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」は、反差別法ではあるものの、対象を外国出身者、かつヘイトスピーチ対策に限定した内容である。

それでも、日常的にマイノリティに対する虐殺さえ煽るヘイトスピーチが蔓延し、ヘイトクライムが各地で起きている今、ヘイトスピーチ対策法を作る緊急性は大きい。

私たちは、人種差別撤廃条約上の義務の履行として、かつ、人種差別撤廃基本法の制定に向けたステップとして、今国会でまずヘイトスピーチ対策法を成立させることを求める。

ただし、与党法案は、対象を外国出身者、なかでも「適法に居住するもの」に保護の対象を限定しており、非正規滞在者への差別的言動にお墨付を与える点は、人種差別撤廃条約に違反するものであり、私たちはとうてい認めることはできない。

その削除を不可欠とした上で、人種差別撤廃条約の理念に基づく実効性ある法にするため、最低限、下記の是正を求める。

  1. 法目的に「人種差別撤廃条約の理念」との文言をいれる。
  2. 差別的言動の禁止条項をいれる。
  3. 「差別的言動」の定義については、
    ・対象を、条約の文言通り「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身」にする。
    ・「著しく侮蔑する」場合も含める。
    ・「地域社会」からの排除に限定せず、「社会」からの排除にする。
  4. 地方公共団体の責務を、努力義務ではなく、国と同じ責務とする。
  5. 定期的な差別の実態調査を行う。
  6. 被害者の意見を聴く条項をいれる。
  7. インターネット対策を入れる。
  8. 人種差別撤廃教育の対象として、公務員、特に警察を明記する。
  9. 差別撤廃の取り組みを検証し推進する審議会を設置する。

私たちは日本に住み暮らすすべての人びとの総意として、上記の点を踏まえたヘイトスピーチ対策法を実現するよう、立法府に求める。

2016年4月19日
「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」院内集会 参加者一同

『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書2016』発刊!

jinkenhakusho2016
外国人人権法連絡会では、毎年「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書」を発刊しています。その2016年版が、2016年3月31日付で発刊されました!
●1冊 1,000円(送料込み)
 ※10冊以上購入の場合は、8掛け

購入を希望される方は、下記の連絡先まで、

①お名前(個人または団体名)
②送付先住所(郵便番号も含めて)
③電話番号
④e-mail
⑤希望冊数
を、お伝えください。お申し込み後、「人権白書」と郵便振替用紙を送ります。本が届いたら、郵便局で本代を振り込んでください。

・連絡先:在日韓国人問題研究所(RAIK) FAX 03-3202-4977 または e-mail: raik@kccj.jp

 

【目次】

はじめに  「人権大国」をめざすのならば…

第1章●ゼノフォビアとヘイトスピーチ

1.ヘイトスピーチをめぐる情勢
2.法務省人権擁護局の取組み
3.大阪市ヘイトスピーチ対処条例
4.弁護士会の取組み
5.企業が率先する民族差別
6.深刻な入居差別の現状

第2章●移住労働者の受入れ政策
1.技能実習法案は制度改善か
2.外国人家事労働者の受入れ
3.介護労働者「受入れ」の課題
4.技能実習生セクハラ事件
5.農業実習生の失踪事件
6.所得税還付金詐欺事件
7.驚くべき監理団体の実態

第3章●3年経過した「新しい在留管理制度」
1.「3年後の見直し」
2.「偽装」滞在者対策の名のもとで
3.在留カードがもたらす法違反者
4.住民登録を消除される外国人住民
5.外国人住民サービスの困難
6.法務省入管局の通報制度

第4章●移住女性の権利
1.「配偶者等」の在留資格取り消し
2.「官・民協働」って?
3.JFC 母子の人身取引
4.移住女性・母子家庭の貧困
5.人種差別撤廃委員会と女性差別撤廃委員会

第5章●マイノリティの子どもたちの権利
1.朝鮮高校無償化除外、補助金停止
2.高校進学における外国人特別枠
3.外国人生徒の大学進学
4.夜間中学等義務教育の拡充
5.進路選択を阻まれる若者たち
6.外国につながる子どもへのいじめ

第6章●“先進国”日本の外国人管理体制
1.第5次出入国管理基本計画
2.難民認定11人、難民保護のゆくえ
3.「第三国定住」
4.マッサンバ難民不認定処分取消
5.スラジュさん裁判
6.チャーター機強制送還の問題点
7.入国管理センターの再編
8.新たな段階に入った国際テロ対策

第7章●対等に扱われないマイノリティの権利
1.琉球・沖縄民族の現段階
2.アイヌ民族をめぐる現状
3.外国人障害者・高齢者の無年金
4.外国籍者とマイナンバー制度

第8章●未だ清算されない植民地責任・戦争責任
1.日本軍「慰安婦」問題の2015年
2.強制動員・強制労働問題の現在
3.明治産業革命の世界遺産登録問題
4.中学校歴史・公民教科書の採択結果

おわりに  戦後70年と人権法制の確立

資料1 在日外国人の人口動態
資料2 2014年自治体アンケート結果
資料3 人種差別撤廃施策推進法案
『人権白書』バックナンバー目次一覧
「外国人人権法連絡会」とは

 

ヘイトスピーチに関する与党法案に対する緊急声明

 4月8日、自民・公明両党から「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」が参議院に提出された。

 与党が、近年外国などの「出身であることを理由として……不当な差別的言動が行われ」ている事実、ならびにそれにより対象者が「多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている」(前文)というヘイトスピーチの害悪を認め、「喫緊の課題」(1条)であるとして許さないことを宣言する(前文)法案を提出した意義は大きい。また、与野党で協議の上、各会派一致で、今国会で成立させることをめざす姿勢も、国がヘイトスピーチ対策をとるべき事態の緊急性の点から評価しうる。

 他方、差別的言動は差別の一形態であり、差別的言動をなくすためには、本来、差別全体に対して取り組む必要がある。日本も加入している人種差別撤廃条約は、ヘイトスピーチを含む人種差別を禁止し、終了させることを求めており、国連の人種差別撤廃委員会が最優先で求めているのは人種差別禁止法である。
 仮に、緊急対策として、与党案のようにヘイトスピーチ対策に限定するなら、何より実効性が求められる。そのためには少なくともヘイトスピーチを違法と宣言することが不可欠である。違法としないと、地方公共団体が具体的な制限を躊躇する危険性が高い。前文で指摘されている極めて深刻な害悪を許さないなら、法治国家においては違法とすることが筋である。また、日本は自由権規約および人種差別撤廃条約により、ヘイトスピーチを違法とする国際法上の義務を負っており、かつ、その旨何度も勧告されているのである。
 明確な定義規定を定めれば、違法とすることは違憲とはならない。また、禁止規定をおくとグレーゾーンの表現を適法とする危険性があるとの指摘もあるが、実効性ある措置をとれない不利益のほうが大きい。緊急対策法として、特に深刻なものに限定してでも、それらに対する実効性ある対処にすぐに取り組むことを要請する。
 このヘイトスピーチ対策法は、差別のない社会を作るため、国際人権基準に合致する包括的な法制度整備に向けた第一歩として明確に位置付けるべきである。法務省も2016年度方針として「新たな人権擁護施策の推進」を掲げた背景として国連の自由権規約委員会等からの是正勧告をあげている。
 定義規定については、「適法に居住する」との要件は、「不法滞在者」とされた外国人に対する差別の煽動を促す危険性がある。また、ヘイトスピーチの実態から見ると「本邦外出身者」では狭すぎ、人種、皮膚の色、世系もしくは社会的身分、または民族的もしくは種族的出身を理由とするものも対象とすべきである。さらに、実態に即して「著しく侮蔑」する場合も、「不当な差別的言動」の対象に含めるべきである。そして、「日本から出ていけ」とのヘイトを除外しないよう、「地域」社会に限定せず、社会一般からの排除を対象とすることを求める。
 実効性を確保するためには、地方公共団体の責務は努力義務では足りない。人種差別撤廃条約上も、国のみならず地方公共団体も差別撤廃義務を負っているからである。
 以上のほか、取組を推進する審議会の設置、定期的な実態調査の実施、被害当事者の意見の聴取、警察への人種差別撤廃教育、インターネット対策など、いくつかの点の検討を求めたい。

 与野党の協議の上、この国会で、実効性あるヘイトスピーチ緊急対策法を成立させることを、私たちは強く要請するものである。

2016年4月9日  外国人人権法連絡会